変数係数漸化式の解き方について説明していきます。
変数係数漸化式の解き方
変数係数漸化式の解き方を解説していきます。
変数係数漸化式とは
変数係数漸化式とは次のような漸化式のことを指します。具体的には、\(a_{n+1}\) や \(a_n\) の係数が変数となっている漸化式のことです。
変数係数漸化式の例
$$ a_{n+1} = (n+1) a_n $$
$$ (n+1) a_{n+1} = a_n $$
$$ (n+2) a_{n+1} = n a_n $$
このように \(a_{n+1}\) や \(a_n\) の係数が変数となっている漸化式のことを変数係数漸化式と呼びます。問題集や大学入試で出題される漸化式の多くは \(a_{n+1}\) や \(a_n\) の係数が定数となっている定数係数漸化式ですが、変数係数漸化式も出題されることがあります。
変数係数漸化式の解き方
変数係数漸化式ですが、その種類によって解き方が異なってきます。どちらかの解き方で解けることが多いです。
変数係数漸化式の解き方1
両辺変数の階乗でかけ(割り)、等比数列型に帰着させる。
変数係数漸化式の解き方2
変数を両辺にかけ、等比数列型に帰着させる。
いずれのタイプでも等比数列型に帰着させることがポイントです。このレベルになってくると、解き方を覚えるというよりも、どのように変形させれば、自分の知っている漸化式の形に変形できるかを考えるということが大切になってきます。実際の多くの入試問題では、自分の知らない形の漸化式を解くことになります。そこでは、自力もしくは誘導を利用して、どのようにすれば自分の知っている漸化式の形に変形できるかを考えることが大切になってきます。
実際に具体例で見ていくことにしましょう。
例題と演習
では、例題を見ていきます。
例題:変数係数漸化式
数列 {\(a_n\)} が次の条件によって定められるとき、一般項 \(a_n\) を求めよ。
(1)\( a_1 =1,a_{n+1} = 2(n+1) a_n \)
(2)\( a_1 =1,(n+2) a_{n+1} = 2n a_n \)
方針
(1)両辺 \( (n+1)! \) で割ると、
$$ \frac{a_{n+1}}{(n+1)!} = 2\frac{a_n}{n!} $$
となる。\(\displaystyle b_n = \frac{a_n}{n!} \) とおくと、
$$ b_{n+1} = 2・b_n $$
となり、等比型に帰着される。
(2)両辺 \((n+1)\) をかけると、
$$ (n+2)(n+1) a_{n+1} = 2(n+1)n a_n $$
となる。 \( b_n = (n+1)n a_n \) とおくと、
$$ b_{n+1} = 2・b_n $$
となり、等比型に帰着される。
(1)両辺 \( (n+1)! \) で割ると、
$$ \frac{a_{n+1}}{(n+1)!} = 2\frac{a_n}{n!} $$
となる。\(\displaystyle b_n = \frac{a_n}{n!} \) とおくと、
$$ b_{n+1} = 2・b_n $$
となる。数列 \( \{b_n\} \) は初項 \( \displaystyle b_1= \frac{a_1}{1} = 1 \)、公比2の等比数列であるから、
$$ b_n = 2^{n-1} $$
となる。よって、
$$ a_n = n!・2^{n-1} $$
(2)両辺 \((n+1)\) をかけると、
$$ (n+2)(n+1) a_{n+1} = 2(n+1)n a_n $$
となる。\( b_n = n(n+1) a_n \) とおくと、
$$ b_{n+1} = 2・b_n $$
数列 \( \{b_n\} \) は初項 \( (1+1)・ a_n = 2 \)、公比2の等比数列であるから、
$$ b_n = 2^n $$
となる。よって、
$$ a_n = \frac{2^n}{n(n+1)} $$
演習:変数係数漸化式
数列 {\(a_n\)} が次の条件によって定められるとき、一般項 \(a_n\) を求めよ。
(1)\( a_1 =1,(n+1) a_{n+1} =2 a_n \)
(2)\( a_1 =1,(n+1) a_{n+1} = 3(n-1) a_n \; \: (n\geq2) \)
おわりに
今回は変数係数漸化式の解き方を解説しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。