今回は、PとCの使い分けについて解説していきたいと思います。
PとCの使い分け
場合の数と確率の分野では、計算手法の記号として、\( {}_n \mathrm{P}_r \) と \( {}_n \mathrm{C}_r \) の2つを習います。しかしながら、\( {}_n \mathrm{P}_r \) と \( {}_n \mathrm{C}_r \) のどちらを使えば良いのか分からず、混乱している人が多く発生します。そこで、ここでは、\( {}_n \mathrm{P}_r \) と \( {}_n \mathrm{C}_r \) の使い分けについて解説していきます。
順序を考慮するかどうか
\( {}_n \mathrm{P}_r \) と \( {}_n \mathrm{C}_r \) の使い分けについて、実用上は順序を考慮するかどうかで使い分けることが多いです。\( {}_n \mathrm{P}_r \) は順序を考慮して並べるときに使用され(順列)、一方で、 \( {}_n \mathrm{C}_r \) は順序を考慮しないで、取り出し方のみを考えるときに使用されることが多いです(組合せ)。
順列 \( {}_n \mathrm{P}_r \) …いくつかのものを順序を考慮して並べる
組合せ \( {}_n \mathrm{C}_r \) …順序を考慮せず、取り出し方のみを考える
例
順列…5つの数字1,2,3,4,5から異なる3つの数字を選び、3桁の数字を作る場合
組合せ…5つの数字1,2,3,4,5から異なる3つの数字を選ぶ場合
3桁の数字を作る場合、123と231は異なる数字になります。このとき、1,2,3の並び方・順序を考慮していますので、順列となります。なので、この場合は \( {}_n \mathrm{P}_r \) を使うことになります。
一方で、選ぶ場合は1,2,3を選ぶだけで、並び方、順序を考慮する必要はないですので、組合せとなります。なので、この場合は \( {}_n \mathrm{C}_r \) を使うことになります。
PとCの定義
順序を考慮するかどうかについては実用上の話であり、元も子もないことを言えば、\( {}_n \mathrm{P}_r \) と \( {}_n \mathrm{C}_r \) の違いはその計算方法しかありません。\( {}_n \mathrm{P}_r \) と \( {}_n \mathrm{C}_r \) の定義を確認しましょう。
Pの定義
$$ {}_n \mathrm{P}_r = \frac{n!}{(n-r)!} \; (r \leq n) $$
Cの定義
$$ {}_n \mathrm{C}_r = \frac{n!}{r!(n-r)!} \; (r \leq n) $$
例題と演習
では、例題を見ていきましょう。
例題:PとCの使い分け
(1)5つの数字1,2,3,4,5から異なる3つの数字を選んでできる3桁の整数はいくつあるか。
(2)5つの数字1,2,3,4,5から異なる3つの数字を選ぶとき、その選び方はいくつあるか。
方針
(1)3桁の数字を作る場合は並び方・順序を考慮していますので、順列となり、計算には \( {}_n \mathrm{P}_r \) を使うことになります。
(2)3桁の数字を選ぶ場合は並び方・順序を考慮していないので、組合せとなり、計算には \( {}_n \mathrm{C}_r \) を使うことになります。
(1)\( {}_5 \mathrm{P}_3 = 5・4・3=60 \)(個)
(2)\( {}_5 \mathrm{C}_3 =\displaystyle \frac{5・4・3}{3・2・1}=10 \)(通り)
演習:PとCの使い分け
(1)8個の数字 0,1,2,3,4,5,6,7 から異なる4個を並べてできる4桁の数字は何通りあるか。
(2)千の位を \(a\),百の位を \(b\),十の位を \(c\),一の位を \(d\) とするとき、(1)の整数のうち、\(a>b>c>d\) となる4桁整数はいくつあるか。
おわりに
今回は、\( {}_n \mathrm{P}_r \) と \( {}_n \mathrm{C}_r \) の使い分けについて解説しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。