【場合の数】重複順列と重複組合せの使い方|区別をするのかしないのか

高校数学

今回は、重複順列と重複組合せの使い方について考えたいと思います。

重複順列と重複組合せの使い方

場合の数で難しいのは、問題文の微妙な違いでどのように数えるかが変わってきてしまうことです。例えば、玉を箱に組分けする問題では、玉に区別がある場合とない場合、箱に区別がある場合とない場合で数え方が全く変わってきてしまいます。

本記事では、組分けの個数に指定がない場合において、組分けのパターンについて解説していきます。

いつ重複順列を使うのか、いつ重複組合せを使うのかを考えながら問題を解いていきましょう。

例題と演習

では、実際に具体例を見ていきましょう。

例題:重複順列と重複組合せの区別

例題

(1)区別のつく6個の玉を区別のつく3個の箱に分ける。
(i)空の箱があっても良いとき、分け方は何通りあるか。
(ii)少なくとも1個は入れるとき、分け方は何通りあるか。

(2)区別のつかない6個の玉を区別のつく3個の箱に分ける。
(i)空の箱があっても良いとき、分け方は何通りあるか。
(ii)少なくとも1個は入れるとき、分け方は何通りあるか。

(3)区別のつく6個の玉を区別のつかない3個の箱に分ける。
(i)空の箱があっても良いとき、分け方は何通りあるか。
(ii)少なくとも1個は入れるとき、分け方は何通りあるか。

(4)区別のつかない6個の玉を区別のつかない3個の箱に分ける。
(i)空の箱があっても良いとき、分け方は何通りあるか。
(ii)少なくとも1個は入れるとき、分け方は何通りあるか。

方針
(1)玉:区別ありー箱:区別ありの問題です。
(i)重複順列の問題です。
(ii)場合分けが必要です。(i)から空箱となるの場合の数を引きます。空箱となるの場合の数は、空箱が2個のときと、空箱が1個だけのときで分けて考えましょう。

(2)玉:区別なしー箱:区別ありの問題です。
(i)重複組合せで考えます。
(ii)重複組合せで考えます。まず、6個の◯を並べ、2個の|をすき間に入れることで考えます。

(3)玉:区別ありー箱:区別なしの問題です。このような問題では、まず先に、箱の区別がある条件で数え、同じものと見做されるものの個数で割ると良いです。
(i)(1)の(i)のうち、全てのボールが1つの箱に入る3通りは、箱の区別をなくすと同じものと見なされます。残りは3!(=6) 個ずつ同じものとみなされます。
(ii)(1)の(ii)のうち、3!(=6) 個ずつ同じものとみなされます。

(4)玉:区別なしー箱:区別なしの問題です。
色々な方法あるかと思いますが、具体的に数字が与えられている場合は、書き出して数えるのが最も良いと思います。

以上、今回の解法をまとめると、次のようになります。

解答

(1)
(i)
箱3個から玉6個を選ぶ重複順列であるから、
\(3^6=729\)(通り)

(ii)
空箱の分け方は
(a)空箱が2個のとき
(b)空箱が1個のとき
の2つの場合がある。
(a)の場合は3通りである。
(b)の場合は、空箱の決め方が3通りあり、残った箱に少なくとも1個配れるようにすると、
\( 3×(2^6-2)=3×62=186 \)(通り)
以上より、
\(729-(3+186)=540\)(通り)

(2)
(i)
箱3個から玉6個を選ぶ重複組合せである。6個の◯と2個の|による順列の総数に帰着されるので、
\( {}_8 \mathrm{C}_2 = 28 \)(通り)

(ii)
求めるものは、6個の◯と2個の|の順列のうち、|が両端に来ず、|が隣り合わない順列の総数である。これは、まず、6個の◯を並べ、2個の|をすき間に入れることを考えると、

\( {}_5 \mathrm{C}_2 = 10 \)(通り)

(3)
(i)
区別のつく6個の玉を区別のつく3つの箱に空箱ができてもよいように入れる方法は、
\(3^6=729\)(通り)
このうち、全てのボールが1つの箱に入る3通りは、箱の区別をなくすと1通りとなる。
一方で、残りの726通りは箱の区別をなくすと、3!個ずつ同じものと見なされる。
以上より、

\( \frac{3}{3}+\frac{726}{6} = 122 \)(通り)

(ii)
区別のつく6個の玉を区別のつく3つの箱に空箱ができないように入れる方法は、(1)の(ii)より540(通り)
箱の区別をなくすと、3!個ずつ同じものと見なされる。
以上より

\(\frac{540}{6}=90\)(通り)

(4)
(i)空の箱があっても良いとき、小さい順に書き出すと、次のようになる。

よって、求める答えは7(通り)

(ii)少なくとも1個は入れるとき、小さい順に書き出すと、次のようになる。

よって、求める答えは3(通り)

演習:重複順列と重複組合せの区別

演習

\(n\) を正の整数とし、\(n\) 個のボールを3つの箱に分けて入れる問題を考える。ただし、1個のボールも入らない箱があってもよいものとする。以下に述べる4つの場合について、それぞれ相異なる入れ方の総数を求めたい。
(1)1から \(n\) まで異なる番号についた \(n\) 個のボールを、A,B,Cと区別された3つの箱に入れる場合、その入れ方は全部で何通りあるか。
(2)互いに区別のつかない \(n\) 個のボールを、A、B、Cと区別された3つの箱に入れる場合、その入れ方は何通りあるか。
(3)1から \(n\) まで異なる番号のついた \(n\) 個のボールを、区別のつかない3つの箱に入れる場合、それ入れ方は全部で何通りあるか。

(東京大)

演習の答え

方針
(1)玉:区別ありー箱:区別ありの問題です。重複順列で考えます。
(2)玉:区別なしー箱:区別ありの問題です。重複組合せで考えます。
(3)玉:区別ありー箱:区別なしの問題です。(1)の答えを、同じものと見做されるものの個数で割ると良いです。

(1)箱3個から玉 \(n\) 個を選ぶ重複順列であるから、
\(3^n\)(通り)

(2)\(n\) 個の◯と2個の|による順列の総数に帰着されるので、

\( {}_{n+2} \mathrm{C}_2 = \frac{(n+1)(n+2)}{2} \)(通り)

(3)区別のつく \(n\) 個の玉を区別のつく3つの箱に空箱ができてもよいように入れる方法は、
\(3^n\)(通り)
このうち、全てのボールが1つの箱に入る3通りは、箱の区別をなくすと1通りとなる。
一方で、残りの \(3^n-3\) 通りは箱の区別をなくすと、3!個ずつ同じものと見なされる。
以上より、

\( \frac{3}{3}+\frac{3^n-3}{6} = \frac{3^{n-1}+1}{2} \)(通り)

おわりに

今回は、重複順列と重複組合せの使い方について解説しました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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