今回は、積が〜で割り切れる確率について解説したいと思います。
積が〜で割り切れる確率
サイコロを振り、出た目の数の積が〜で割り切れる確率、もしくは積が〜の倍数になる確率は余事象を利用して求めます。
余事象を利用せよ!
例えば、サイコロを振り、出た目の数の積が4の倍数である確率を考えてみましょう。出た目の積が4の倍数となるのは、出た目の積の素因数分解において、2が少なくとも2つ出たときです。少なくともといえば、余事象ですよね。
例えば、サイコロを振り、出た目の数の積が6の倍数である確率を考えてみましょう。出た目の積が6の倍数となるのは、2が少なくとも1つ、かつ3が少なくとも1つ出たときです。なお、この場合は、「かつ」があるので、実際に回答を考える時は、ベン図を使います。
このように、積が〜で割り切れる確率/積が〜の倍数になる確率では、余事象を利用します。
例題と演習
では、具体例を見ていきましょう。
例題:積が〜で割り切れる確率
サイコロを繰り返し \(n\) 回振って、出た目の数を掛け合わせた積を \(X\) とする。すなわち、\(k\) 回目に出た目の数を \(Y_k \) とすると、
$$ X=Y_1Y_2Y_3…Y_n $$
である。このとき、
(1)\(X\) が3で割り切れる確率 \(p_n\) を求めよ。
(2)\(X\) が4で割り切れる確率 \(q_n\) を求めよ。
(3)\(X\) が6で割り切れる確率 \(r_n\) を求めよ。
方針
余事象を利用しましょう。
(2)2の素因数の数に着目します。2の素因数の数に着目して下記のようにグループ分けします。
$$ A_0 = \{1, 3, 5\}, A_1 = \{2, 6\}, A_2 = \{4\}$$
このとき、4で割り切れないのは、
① \(n\) 回とも\(A_0\)が出る
② \(n-1\) 回\(A_0\)が出て、1回だけ\(A_1\)が出る
のどちらかです。
(3)下図のようにベン図を書くと、灰色部分が積が6の倍数となります。

(1)\(n\)回投げたとき、\(X\)が3の倍数とならないのは、\(n\)回とも \( \{1, 2, 4, 5\} \) が出るときである。よって、
$$ p_n = 1-\frac{4^n}{6^n} = 1 – \frac{2^n}{3^n} $$
(2)\(n\)回投げたとき、\(X\)が4の倍数とならないのは、次の2つの場合である。
① \(n\) 回とも\( \{1, 3, 5\} \) が出る
② \(n-1\) 回\( \{1, 3, 5\} \) が出て、1回だけ\( \{2, 6\} \) が出る
上記の2つの場合の場合の数を求めると、
① \(3^n\) 通り
② \(n・2・3^{n-1}\) 通り
となるので、
$$ q_n = 1- \frac{3^n+2n・3^{n-1}}{6^n} $$
(3)
\(U\):全事象
\(A\):\(X\)が2の倍数でない事象
\(B\):\(X\)が3の倍数でない事象
とおく。
\(n (A)\) は、\(n\) 回とも\( \{1, 3, 5\} \) が出ればよいので、
$$ n (A)=3^n $$
\(n (B)\) は、\(n\) 回とも\( \{1, 2, 4, 5\} \) が出ればよいので、
$$ n (B)=4^n $$
\(n (A\cap B)\) は、\(n\) 回とも\( \{1, 5\} \) が出ればよいので、
$$ n (A\cap B) = 2^n $$
よって、
$$ n (A\cup B) = n(A)+n(B)-n (A\cap B) = 3^n+4^n-2^n $$
以上より、
$$ r_n = 1- \frac{3^n+4^n-2^n}{6^n} $$

(2)の解答は2で割ることもできます。
演習:積が〜で割り切れる確率
\(n\) を自然数とする。1個のサイコロを \(n\) 回投げ、出た目を順に \(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\) とし、\(n\)個の数の積 \(X_1X_2…X_n\) を \(Y\) とする。
(1)\(Y\) が5で割り切れる確率を求めよ。
(2)\(Y\) が15で割り切れる確率を求めよ。
おわりに
今回は、積が〜で割り切れる確率の求め方を解説しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。