【図形と方程式】放物線の弦の中点の軌跡|パラメータ表示を経由して軌跡を求める

高校数学

こんにちは。今回は放物線の弦の中点の軌跡を求める問題について解説していきます。

放物線の弦の中点の軌跡

軌跡を求める入試の典型的な問題で、「放物線の弦の中点の軌跡を求める」の問題というものがあります。今回は、この軌跡を求める問題について解説していこうと思います。

軌跡の求め方

大学入試で出題される軌跡の問題は、次の(a)直接軌跡を求めるタイプと(b)パラメータを経由して軌跡を求めるタイプの2つのどちらかの解法で解くことができます。

  • (a)の解法で解く問題としては、有名な問題だとアポロニウスの円の問題があります。
  • (b)の問題は放物線の弦の中点の軌跡の問題、2直線の交点の軌跡の問題などがあります。

放物線の弦の中点の軌跡は(b)のパラメータを経由して軌跡を求めるタイプの問題です。このタイプの問題は、パラメータを設定しなければならないので、軌跡を求める問題の中でも、比較的難しく感じると思います。

何をパラメータとして置くかは、問題の設定によって、臨機応変に決定する必要があります。放物線の弦の中点の軌跡の問題の場合は、放物線と直線の交点の \(x\) 座標をパラメータとします。

パラメータとは

パラメータ(媒介変数)表示とは、\(x\),\(y\) の方程式を \(x\),\(y\) 以外の文字を用いて表すことをいいます。例えば、次は連立方程式はパラメータ表示となっています。

\[
\left\{
\begin{array}{l}
x = t+1 …①\\
y= 2t^2 -1 …②
\end{array}
\right.
\]

上の連立方程式の場合、\(t\) がパラメータとなっています。

パラメータ表示はパラメータを消去することによって、方程式表示に変換することができます。

例えば、上の連立方程式の場合、①から \(t=x-1\) となりますので、これを②に代入することで、次の方程式表示に変換することができます。

$$ y=2(t-1)^2-1 $$

今回の場合、この方程式表示が軌跡になります。この方程式表示を求めるために、パラメータを導入し、計算することになります。

放物線の弦の中点の軌跡

放物線の弦の中点の軌跡の問題は、次の方法で求めることができます。

弦の中点の軌跡の問題の解き方

① 直線と方程式が交わる範囲を求める
② パラメータ表示をつくる(この問題のポイント)
③ 方程式をつくる(軌跡を求める)

①:まず、直線と方程式が交わる範囲を求めます。直線の方程式が \(y=mx-x\) などと、文字を含んだ式で表されているので、この定数 \(m\) の範囲を求めます。

②:放物線と直線の交点の \(x\) 座標をパラメータとして、パラメータ表示をつくります。

③:パラメータを消去して、方程式を作ります。

では、実際に問題を見ていくことにしましょう。

例題と演習

実際に問題を見ていきましょう。

例題:放物線の弦の中点の軌跡

例題

放物線 \( C:y=x^2 …①\) と直線 \( l:y=m(x-1) …②\) は異なる2点 \(A\),\(B\) で交わっている。
(1)定数 \(m\) の値の範囲を求めよ。
(2)\(m\) の値が変化するとき、線分 \(AB\) の中点の軌跡を求めよ。

方針
(1)異なる\(2\)点で交わることから,判別式 \(D\) を用いて、\(D>0\) から \(m\) の値の範囲を求めます。
(2)放物線と直線の交点の \(x\) 座標をパラメータとして、パラメータ表示をつくり、パラメータを消去し、軌跡を求めます。

解答

(1)①ー②より

$$ x^2-mx+m=0 …③$$

③の判別式を \(D\) とすると、異なる\(2\)点で交わる条件は

$$ D=(-m)^2-4m = m(m-4)>0 $$

よって、

$$ m<0,4<m $$

(2)\(A\; (\alpha,m\alpha-m) \),\(B\; (\beta,m\beta-m) \) とおく。また、線分 \(AB\) の中点を \(P\; (x,y)\)とすると,

$$ x=\displaystyle \frac{\alpha+\beta}{2} $$

$$ y=\displaystyle \frac{(m\alpha-m)+(m\beta-m)}{2} = \frac{m( \alpha+ \beta) – 2m}{2} $$

\(\alpha\),\(\beta\) は交点の \(x\) 座標なので、\(\alpha\),\(\beta\) は③の解である。よって、解と係数の関係より、\(\alpha+\beta=m\) である。このとき、

$$ x = \displaystyle \frac{m}{2} …④$$

$$ y = \frac{m^2 – 2m}{2} …⑤$$

となる(パラメータ表示)。④より

$$ m=2x …⑥$$

⑤に代入して整理すると

$$ y=2x^2-2x $$

(1)と⑥から

$$ 2x<0,4<2x $$

したがって、

$$ x<0,2<x $$

よって、求める軌跡は

$$ y=2x^2-2x \; (x<0,2<x) $$

演習:放物線の弦の中点の軌跡

演習

座標平面上に直線 \(l:y=mx-4m …①\) と放物線 \(y=\displaystyle \frac{1}{4}x^2 …②\) がある。\(m\) は、\(l\) と \(C\) が異なる \(2\) 点 \(P,Q\) で交わるような値をとるとする。また、線分 \(PQ\) の中点を \(M\) とする。
(1)\(m\) のとりうる値の範囲を求めよ。
(2)\(M\) の軌跡を求め、座標平面上にそれを図示せよ。

演習の答え

例題と同じようにして解くことができます。

(1)①ー②より

$$ \frac{1}{4} x^2 – mx +4m = 0 …③$$

③の判別式を \(D\) とすると、異なる\(2\)点で交わる条件は

$$ D=m^2-4m = m(m-4)>0 $$

よって、

$$ m<0,4<m $$

(2)\(P\; (\alpha,m\alpha-4m) \),\(Q\; (\beta,m\beta-4m) \) とおく。また、\(M\; (x,y)\)とすると,

$$ x=\displaystyle \frac{\alpha+\beta}{2} $$

$$ y=\displaystyle \frac{(m\alpha-4m)+(m\beta-4m)}{2} = \frac{m( \alpha+ \beta) – 8m}{2} $$

\(\alpha\),\(\beta\) は交点の \(x\) 座標なので、\(\alpha\),\(\beta\) は③の解である。よって、解と係数の関係より、\(\alpha+\beta=4m\) である。このとき、

$$ x = 2m …④$$

$$ y = 2m^2 – 4m …⑤$$

となる(パラメータ表示)。④より

$$ m=\displaystyle \frac{1}{2} x …⑥$$

⑤に代入して整理すると

$$ y=\displaystyle \frac{1}{2} x^2-2x $$

(1)と⑥から

$$ \displaystyle \frac{1}{2} x<0,4<\frac{1}{2} x $$

したがって、

$$ x<0,8<x $$

よって、求める軌跡は

$$ y=\displaystyle \frac{1}{2} x^2-2x \; (x<0,8<x) $$

まとめ

今回は、放物線の弦の中点の軌跡を求める問題について解説しました。

パラメータを経由して軌跡を求めるのがポイントでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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