こんにちは。今回は \( (x+y,xy) \) で表される領域について、解説していきます。
\( (x+y,xy) \) で表される領域
\( (x+y,xy) \) で表される領域の問題について解説します。有名な入試の典型的な問題の1つですが、経験をしないと、間違えることが多いですから、1回は経験をしておきましょう。
次の例の問題を考えてみましょう。
方針としては、\( x+y=X,xy=Y \) とおいて、\(X,Y\) の関係式を導くことを考えます。
条件式は \(x^2+y^2 \leq 1 \) ですから、これを \(X,Y\)で表すことを考えます。\(x^2+y^2\) は対称式ですので、以下のように、基本対称式である \(X,Y\)で表すことができます。
$$ x^2+y^2 = (x+y)^2-2xy = X^2-2Y \leq 1 $$
よって、図示する領域は \( X^2-2Y \leq 1 \) となりますが、これだけでは誤りなので注意しましょう。これ以外にもう1つ条件があります。\( (x+y,xy) \) で表される領域は見えない放物線に注意しましょう。
見えない放物線に注意する
\( X=x+y \),\( Y= xy \) で表される座標平面上には、そもそも存在しない点があることに注意が必要です。座標平面だと全ての点が存在しそうな気がしますが、存在しない点があることに注意が必要です。
例えば、\( X=x+y \),\( Y= xy \) で表される座標平面において、\( (X,Y) = (0,-1) \) という点は存在しますが、\( (X,Y) = (0,1) \) という点は存在しません。
まず、\( (X,Y) = (0,-1) \) という点について考えてみましょう。\( X=x+y \),\( Y= xy \) なので、次の連立方程式を満たす \(x\),\(y\) が存在する必要があります。
\[
\left\{
\begin{array}{l}
0 = x+y \\
-1 = xy
\end{array}
\right.
\]
実際にこの連立方程式を解いてみると、\( (x,y) = (1,-1),(-1,1) \) と存在します。
では、\( (X,Y) = (0,1) \) という点はどうでしょうか。\( X=x+y \),\( Y= xy \) なので、次の連立方程式を満たす \(x\),\(y\) が存在する必要があります。
\[
\left\{
\begin{array}{l}
0 = x+y …①\\
1 = xy …②
\end{array}
\right.
\]
①より \(y=-x\) です。これを②に代入すると、\( x^2 = -1\) となりますが、このような \(x\) は実数の範囲には存在しません。もし \(x\),\(y\) が虚数なら、\( (x,y) = (i,-i),(-i,i) \) と存在しますが、実数の範囲では存在しません。
すなわち、\( X=x+y \),\( Y= xy \) で表される座標平面上には、実数の範囲では存在しない点があるということです。
これより、\(x\),\(y\) が実数である \( X \),\( Y \) の領域を考える必要があることが分かります。これのことを換言すれば、\(x\),\(y\) を解とする方程式が実数解をもつ条件を考えればよい、ということになります。これは、\(x\),\(y\) を解とする方程式 \( (t-x)(t-y)=0 \) が実数解を持てばよいということです。\( t^2-(x+y)t+xy=0 \) すなわち \( t^2-Xt+Y=0 \) が実数解を持つ条件は \(D=X^2-4Y \geq 0 \) となります。
実数条件というと、あまり特別な条件という感じがしませんが、複素数、虚数とある中で、ある数が実数であるというのは、実は特別な条件なのです。
例題
例題:\( (x+y,xy) \) で表される領域
方針
\( x+y=X,xy=Y \) とおいて、\(X,Y\) の関係式を導きましょう。また、\(x\),\(y\) が実数である条件も考える必要があります。
演習:\( (x+y,xy) \) で表される領域
まとめ
今回は、\( (x+y,xy) \) で表される領域について扱いました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。