今回は、数学Ⅱの図形と方程式分野で頻出問題の一つである\(k\)の値に関わらず通る点の解き方について解説していこうと思います。
\(k\)の値に関わらず通る点の解き方
\(k\)の値に関わらず通る点の解き方ですが、最初に結論から言うと、\(k\)についての恒等式を解けばよいだけです。
\(k\)の値に関わらず通る点の解き方
\(k\)の値に関わらず通る点を求めるには\(k\)についての恒等式を解く
では、なぜ\(k\)についての恒等式を解くと、定点が求められるのか、説明していこうと思います。
例題1:なぜ\(k\)についての恒等式を解くのか
例えば、次の問題を考えてみたいと思います。
例題1
\(k\)は定数とする。直線\( (k+3)x-(2k-1)y-8k-3=0 \)は、\(k\)の値に関係なく定点Aを通る。その定点Aの座標を求めよ。
直線\( (k+3)x-(2k-1)y-8k-3=0 \)について\(k\)の値に関係なく通る点を求めよ、という問題です。
定点Aを求めたいので、\(k\)の値に関係なく通る点Aを\( (X,Y) \)とおくことにします。定点Aは直線\( (k+3)x-(2k-1)y-8k-3=0 \)の直線を通るのだから、\(k\)の値に関係なく次の式が成り立ちます。
$$ (k+3)X-(2k-1)Y-8k-3=0 $$
上式は\(k\)の値に関係なく上式が成り立ちます。上式は\(k\)の値に関係なく成立する、すなわち、\(k\)についての恒等式ということです。
恒等式の定義
恒等式とは、等式に含まれている文字に任意の文字を代入しても、その等式が成り立つ式のこと
\(k\)の値に関わらず通る点は、\(k\)についての恒等式を解けばよいだけなのです。
解答1
\(k\)の値に関係なく通る点Aを\( (X,Y) \)とおく。定点Aは直線\( (k+3)x-(2k-1)y-8k-3=0 \)の直線を通るのだから、\(k\)の値に関係なく次の式が成り立つ。
$$ (k+3)X-(2k-1)Y-8k-3=0 $$
\(k\)について整理すると、
$$ k(X-2Y-8)+3X+Y-3=0 $$
この等式が\(k\)の値に関わらず成立するには、
\[
\left\{
\begin{array}{l}
X-2Y-8=0 \\
3X+Y-3=0
\end{array}
\right.
\]
これを解くと
$$ X=2,Y=-3 $$
よって求める定点Aの座標は
$$ A(2, -3) $$
今回は、丁寧に定点Aを\( (X,Y) \)とおきましたが、置かずに求めてもよいです。
\(k\)の値に関わらず通る点を求める問題
ここからは具体的に問題をいつくか見ていくことにしましょう。
例題2:kの値に関わらず通る点
例題2
\(a\)は定数とする。直線\( (a+2)x+(a+3)y=10 \)は、\(a\)の値に関係なく定点Aを通る。その定点Aの座標を求めよ。
解答2
与式を\(a\)について整理すると
$$ a(x+y)+2x+3y-10 = 0 $$
この等式が\(a\)の値に関わらず成立するには、
\[
\left\{
\begin{array}{l}
x+y=0 \\
2x+3y-10=0
\end{array}
\right.
\]
これを解くと
$$ x=-10,y=10 $$
よって求める定点Aの座標は
$$ A(-10, 10) $$
最後に演習を1題やっておきましょう。
演習1:kの値に関わらず通る点
演習1
\(k\)は実数の定数とする。直線\( (k+2)x+(3k-2)y-16=0 \)は、\(k\)の値に関係なく点Pを通る。このとき、Pの座標を求めよ。
演習1の答え
与式を\(k\)について整理すると
$$ k(x+3y)+2x-2y-16 = 0 $$
この等式が\(k\)の値に関わらず成立するには、
\[
\left\{
\begin{array}{l}
x+3y=0 \\
2x-2y-16=0
\end{array}
\right.
\]
これを解くと
$$ x=6,y=-2 $$
よって求める定点Aの座標は
$$ A(6, -2) $$
おわりに
今回は\(k\)の値に関わらず通る点の求め方について解説しました。典型問題かつ入試頻出ですから、できるようにしておきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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