【確率】確率漸化式の解き方|状態遷移図を書く

高校数学

今回は、確率漸化式の問題について解き方を解説したいと思います。

確率漸化式の解き方

確率漸化式とは

確率漸化式とは、ある状態が、1回ごと、もしくは1秒ごとに移り変わっていく(状態が変化する)ときに、\(n\)秒後、\(n\)回後にある状態である確率を求める問題のことです。確率漸化式は、確率知識(数学A)と漸化式(数学B)の両方の知識を必要とするため、教科書ではほとんど取り扱われることなく、受験数学の勉強を進めていくときに、初めて出くわすことが多いです。一方で、受験数学では定番の問題であり、入試でも1問で確率と漸化式の両方の考え方を問えることから、頻出のテーマとなっています。

確率漸化式の解き方

確率漸化式の問題では、次のように解きます。

確率漸化式の解き方

① 全ての状態を書き出す(このとき排反になっているかに注意)
② 状態と状態のつながり(状態遷移図)を書く

まず、問題文から、排反になるように、全ての状態を書き出します。次に、状態と状態のつながり(状態遷移図)を書き、漸化式を立てて、計算を行い、確率を求めます。状態遷移図の書き方が難しいので、例を使って説明します。

例えば、すべての状態が、事象\(A\),\(B\) のいずれかで、他にないとします。そして、このとき、\(n\)回の試行の後に事象 \(A\) が起こる確率を \(a_n\) とおくと、事象 \(B\) が起こる確率を \(1-a_n\) となります。問題文の条件から、次のように、確率が求められているとします。

遷移確率
\(A \to A\)\(\displaystyle \frac{1}{2} \)
\(A \to B\)\(\displaystyle \frac{1}{2} \)
\(B \to A\)\(\displaystyle \frac{1}{6} \)
\(B \to B\)\(\displaystyle \frac{5}{6} \)

これをもとにして、状態遷移図を書くと、下記のようになります。

そして、書いた状態遷移図をもとに、漸化式を立てて、計算を行い、確率を求めます。

上の状態遷移図をもとに、漸化式を立てると、

$$ a_{n+1}=\frac{1}{2} a_n + \frac{1}{6} (1-a_n) = \frac{1}{3} a_n + \frac{1}{6} $$

となり、あとは、これを解けば、確率を求められます。このように、状態遷移図を書いた後の処理は比較的簡単なので、如何に正確に状態遷移図を書けるかが、確率漸化式のポイントです。

なお、入試問題で登場する状態数は2つか3つであることが多いです。4つ以上登場する場合でも、大抵、状態の同一視や対称性によって、状態数を2つか3つに減らせることが多いです。

例題:確率漸化式

例題

1,2,3の数字を書いたカードが一枚ずつあり、横一列に並べてある。左端のカードと他の2枚のうちの1枚とを無造作に入れ替える操作を考える。
最初に3枚のカードを左から1,2,3の順に並んでいるとき、この操作を \(n\) 回繰り返した結果、1のカードが左端にある確率を \(a_n\),真ん中にある確率を \(b_n\),右端にある確率を \(c_n\) とする。
(1)\(a_2\),\(b_2\),\(c_2\) を求めよ。
(2)\(a_{n+1}\) を \(a_n\) で表し、\(a_n\) を \(n\) を用いて表せ。
(3)\(b_n\) を \(n\) を用いて表せ。

(早稲田大)

方針
問題文より、状態は「1が真ん中にある」「1が左端にある」「1が右端にある」の3つであることが分かっています。あとは、状態がどのように遷移していくか、図を書きながら、考えてみましょう。

上図より、\(n\) 回目に「1が左端にある」とき、\(n+1\) 回目に「1が左端」の状態になることはなく、「1が真ん中にある」「1が右端にある」のそれぞれの状態が確率 \(\frac{1}{2}\) で起こることが分かります。他の場合も同様に考えてみましょう。

解答

(1)問題文の仮定から、最初に3枚のカードは左から1,2,3の順に並んでいるから、\(a_0=1\),\(b_0=0\),\(c_0=0\) である。

次に、漸化式を求める。問題文の条件より、\(n\) 回目に「1が左端にある」とき、\(n+1\) 回目に「1が左端」の状態になることはなく、「1が真ん中にある」「1が右端にある」のそれぞれの状態が確率 \(\frac{1}{2}\) で起こる。また、\(n\) 回目に「1が真ん中にある」とき、\(n+1\) 回目に「1が右端」の状態になることはなく、「1が真ん中にある」「1が左端にある」のそれぞれの状態が確率 \(\frac{1}{2}\) で起こる。また、\(n\) 回目に「1が右端にある」とき、\(n+1\) 回目に「1が真ん中にある」の状態になることはなく、「1が右端にある」「1が左端にある」のそれぞれの状態が確率 \(\frac{1}{2}\) で起こる。よって、次のような状態遷移図が書ける。

これより、次の連立漸化式が導かれる。

\[
\left\{
\begin{array}{l}
a_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{2} b_n+\frac{1}{2} c_n \\
b_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{2} a_n+\frac{1}{2} b_n \\
c_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{2} a_n+\frac{1}{2} c_n
\end{array}
\right.
\]

これより、\(a_0=1\),\(b_0=0\),\(c_0=0\) を連立漸化式に代入すると、\(a_1=0\),\(b_1=\displaystyle \frac{1}{2}\),\(c_1=\displaystyle \frac{1}{2}\) となる。同様にして、\(a_2=\displaystyle \frac{1}{2}\),\(b_2=\displaystyle \frac{1}{4}\),\(c_2=\displaystyle \frac{1}{4}\) と求められる。

(2)\(a_n+b_n+c_n=1\) であるから、(1)より

$$ a_{n+1}=\frac{1}{2} b_n+\frac{1}{2} c_n =\frac{1}{2} (b_n+c_n) = \frac{1}{2} (1-a_n) $$

である。この漸化式は次のように変形できる。

$$ a_{n+1} – \frac{1}{3} = \frac{1}{2} \left ( a_n – \frac{1}{3} \right ) $$

よって、

$$ a_n – \frac{1}{3} = \left ( a_1 – \frac{1}{3} \right ) \left(-\frac{1}{2}\right)^{n-1} $$

\(a_1=0\) であるから、

$$ a_n= – \frac{1}{3} \left(-\frac{1}{2}\right)^{n-1} + \frac{1}{3} $$

(3)(1)の連立漸化式より、

$$ b_{n+1}-c_{n+1} = \frac{1}{2}(b_n-c_n) $$

である。この等比数列は、

$$ b_n-c_n = (b_1-c_1) \left(\frac{1}{2}\right)^{n-1} = 0 $$

となる。よって、\(b_n=c_n\) である。\(a_n+b_n+c_n=1\) であるから、

$$ b_n + c_n = 1-a_n $$

\(b_n=c_n\) であることから、

$$ b_n = \frac{1}{2} (1-a_n) $$

と求められる。(2)より、

$$ b_n = \frac{1}{6} \left(-\frac{1}{2}\right)^{n-1} + \frac{1}{3} $$

演習:確率漸化式

演習

図のように、正三角形を9つの部屋に辺で区切り,部屋P,Qを定める。1つの球が部屋Pを出発し、1秒ごとに、そのまま部屋にとどまることなく、辺を共有する隣の部屋に等確率で移動する。球が \(n\) 秒後に部屋Qにある確率を求めよ。

(東京大)

演習の答え

方針
2012年に東京大学で出題された、有名な確率漸化式の問題です。

9個の部屋がありますが、9個の連立漸化式にする必要はなく、偶奇や対称性に着目することで、2個の連立漸化式に帰着できます。

次のように、9個の部屋すべてに名前をつけ、具体的に実験を行うと、次のことに気づくと思います。

  • \(P\),\(Q\),\(R\) にいるのは、偶数秒後のみ
  • \(A\),\(B\),\(C\),\(D\),\(E\),\(F\) にいるのは、奇数秒後
  • \(Q\),\(R\) にいる確率は同じ

このことを利用して問題を解いていきます。

図のように、9個の部屋に名前をつける。

\(n\) 秒後にPにある確率を \(p_n\)、QまたはRにある確率を \(q_n\) とおく。\(n\) が奇数のときは、\(p_n=q_n=0\) である。一方で、\(n\) が偶数のとき、\(n=2k\) として、\(2k\) 秒後から \(2k+2\) 秒後の確率の遷移を考える。このとき、次のように遷移する。

これより、次の連立漸化式が導かれる。

\[
\left\{
\begin{array}{l}
p_{2k+2}=\displaystyle \frac{2}{3} p_{2k}+\frac{1}{6} q_{2k} \\
q_{2k+2}=\displaystyle \frac{1}{3} p_{2k}+\frac{5}{6} q_{2k}
\end{array}
\right.
\]

ここで、\(p_{2k}+q_{2k}=1\) より、

$$ q_{2k+2}=\displaystyle \frac{1}{3} (1-q_{2k})+\frac{5}{6} q_{2k} = \frac{1}{2} q_{2k} +\frac{1}{3} $$

$$ q_{2k+2} – \displaystyle \frac{2}{3} = \frac{1}{2} \left ( q_{2k} – \frac{2}{3} \right ) $$

よって、

$$ q_{2k} – \displaystyle \frac{2}{3} = \left ( q_{0} – \frac{2}{3} \right ) \left(\frac{1}{2}\right)^{k} $$

\(q_0=0\) であるから、

$$ q_{2k} = – \frac{2}{3} \left(\frac{1}{2}\right)^{k} + \frac{2}{3} $$

対称性から、\(Q\),\(R\) にいる確率は同じであるから、\(Q\) にいる確率は、

$$ \frac{q_{2k}}{2} = – \frac{1}{3} \left(\frac{1}{2}\right)^{k} + \frac{1}{3} $$

と求められる。したがって、\(n\) 秒後にQにある確率は、

\(n\) が奇数のとき0、\(n\) が偶数のとき、\( – \displaystyle \frac{1}{3} \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{n}{2}} + \frac{1}{3} \)

となる。

おわりに

今回は、確率漸化式の解き方について解説しました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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